最近は、色々なメーカーから様々なゲーミングヘッドセットが出ていますが、実際、本当に粗悪なものからハイクオリティなものまで様々です。でも、どれが良くて、どれが粗悪なのかは買って暫く使ってみないと解らないから厄介ですよね。
同じ価格帯でもメーカーによってクオリティが全然違ったりしますので、メーカー選びは本当に大事です。そんな中、私が最近、価格の割にクオリティが良いのではないかと感じているのはキングストンのHyper-Xシリーズです。
そんな訳で、気が付けば、我が家には3台ものHyper-Xシリーズのゲーミングヘッドセットがあったので、ゲーミングヘッドセットの購入を検討している方の参考となればと、今回、比較レビューを書いてみる事にしました。
比較するのは以下の3機種
2.Hyper-X Cloud Stinger(実勢価格5,900円)
3.Hyper-X Cloud Alpha (実勢価格12,684円)
Hyper-Xとの最初の出会いは、Hyper-X Cloud Droneと言う機種で、キングストンがAmazon.co.jp限定として出したエントリークラスのモデルです。
現在は、もう生産終了になっていると思うので、当時の価格では手に入らないと思います。特別企画的なモデルなので、価格は安く抑えていたのに、編み込みのケーブルや金メッキプラグを採用するなど価格から考えると、豪華な装備でした。
次のCloud Stingerは、Droneの後継機的な立ち位置で、やはりエントリークラスのモデルですが、こちらは最新モデルです。3モデル中、唯一ドライバーの向きを横方向に変えられるが特徴。価格は Droneより少しアップしました。
最後の Hyper-X Cloud Alpha はモデルの位置づけとしては、ミドルクラスになるのかもしれませんが、上位の Cloud Revolver が少し古い機種の為、Alpha の方が改良された部分も多く、実勢価格も逆転しているので、もしかしたら現状 Alpha が実質的なハイエンドモデルになるのかもしれません。
Hyper-X にはこの他にもUSBサラウンドユニットなど同梱したモデルなど、さらに価格が高いモデルもありますが、Windows10にマイクロソフト純正の7.1chサラウンド機能 Windows Sonic for Headphones(無料)や Dolby Atoms for Headphones(有料)が搭載された今となっては、そちらを選ぶ意味はほぼないでしょう。
では、まず音質に関してですが、価格も世代も違うので、三者三様なのですが、まず Droneの音は、割とフラットな感じで、周波数特性をざっくりイメージで言うと跳び箱のような感じですかね。特別、低音が出るとか、高音が突き刺さるとか言う事が無く、まぁ、特別高音質にも感じないけど、その分聞き疲れもしないと言った感じでしょうか。
それに対して、Stingerは、明らかに高音域が強くなりましたね。まぁ、Droneに対して明らかに高音は良く出るようになっている事は感じ取れるのですが、それに見合った低音が無いので、オーディオ用語で言うと少しハイ上がりに感じますね。オーディオドライバの設定にあるイコライザで低音域を若干持ち上げ、高音域を若干下げるなどして、使う必要があるように感じます。
ただ、ドライバー自体は Droneの4cmに対して5cmにアップしているし、ドライバ自体の音質は良くなっているとは感じますね。
次に、Cloud Alphaですが、こちらは、値段も倍以上しますし、今回のAlphaでドライバーユニット自体がデュアルチャンバー方式に改良されたのもあるのでしょうが、低域から高域までフラットで、さらに本当に低い周波数や高い周波数までフラットを長く維持している感じがしますね。イコライザーの必要性は感じないですね。
また、全体的にエントリーモデルに比べて、重みのある低音と嫌味の無い上品な高音でつやのある音とでも言うのでしょうか。やっぱり値段の差はわかりますね。
次に装着感ですが、これが意外にも一番装着感が良いのが、Stingerでした。装着してすぐ感じるのが中が広いと言う事です。これは耳が入る部屋の形状が後頭部に向かって急速に深くなっており、耳の形状に合わせて、耳を避けるように作られている為です。
ですので耳がどこにも当たらないので、非常に快適なのです。さらに唯一Stingerだけ、ドライバ部分(カップ)の向きを自由に変えられるので、頭の形状に合わせたベストな角度で装着できるのも影響しているかもしれません。
これに対してDrone はカップ自体が小さいです。パッドが、耳の裏側に触れているのを感じます。触れない方がより快適性は上がると思うので、耳の大きい人には向かないでしょうね。
そして Cloud Alpha ですが、本来ならこれが一番快適と言いたいところですが、そうでもないです。パッド自体は柔らかく大きさ自体もStingerと同等で大きいのですが、一番の問題は、今回採用したデュアルチャンバー方式のドライバーの厚みが大きいせいで耳の入るスペースが犠牲になっています。Stingerで見られた、後頭部に向かうにつれて深くなっている様子が殆どなく、深さが全周に渡ってフラットな感じです。
ですので、前側は大丈夫なのですが、後側は耳がドライバに軽く触れてしまうかもしれません。私は触れてしまいました。そしてそのしわ寄せの影響か、耳の裏側もパッドに触れている感じがします。
また、Cloud Alphaはパーツの大半が金属製(アルミ)なので、他の2つと比べて重くなっていますので、この辺りも長時間装着時の快適性に影響するとは思います。ただ、カップの中身がアルミのおかげか、遮音性は Droneよりも遥かに高く、周りの音を大幅に遮断してくれます。周りの人の声が明らかに聞こえにくくなります。(これでもCloud Alphaは金属パーツ多用モデルの中ではダントツにアルミ使用などで軽量化されている方ですので、他モデルや他社はもっと重くなる事を覚悟した方がいいですよ。)
結局、分厚いデュアルチャンバードライバにしても遮音性の高い金属製のカップにしてみても、音響性能の為なので、音質とのトレードオフな部分はありますよね。
あと、マイクのオンオフやボリュームのコントロールは、DroneとStingerは全てヘッドセット部分で出来ますが、Alphaの方は、ケーブル中のインラインコントローラーで行います。どっちが使い勝手がいいかと言えば、ヘッドセットでやる方がいいと思いますし、Alphaも出来るならそうしたかったとは思いますが、ドライバの巨大化などで、恐らくスイッチやボリュームコントロールなどのメカニズムをヘッドセット内に収めるスペースが無かったのでしょうね。(故障時の交換の利便性などもあるかもしれませんが。)
と言う訳で、音質は、そんなにこだわらないよって人なら、快適性や操作性などの面で Cloud Stinger 一択だと思いますね。
逆に多少快適性や操作性が落ちても、音質は譲れないって人なら Cloud Alphaがいいでしょうね。なお、Alpha はマイクブームの跳ね上げなどは出来ませんが、マイク自体を取り外す事は出来ます。また音声ケーブルも取り外す事が出来ます。
ヘッドセットをヘッドフォンとして持ち出す時などには、マイクブームを取り外せるのは便利かもしれませんね。
あとマイクの感度や音質についてですが、感度はまさにスペック通りで一番感度が良いのが -40dBの Stinger 次に-43dBのAlpha そして一番感度が悪いのは -45dBの Drone の順です。実際に使ってみると、その通りに感じます。
音質は、ノイズキャンセリングマイク全般に言える事ですが、低音が抜かれているような音になります。まぁ、低音を抜く事によって外乱音を低減している部分もあるので、ノイズキャンセリングとつくマイクの音質は基本的に余り期待しない方がいいと思います。
まぁ、仲間とのやり取りにはこれで十分ですが、動画配信などに使うには余り向かないと思います。動画配信にはちゃんとした据え置きタイプの低音まで入るノイズキャンセリングじゃないマイクを使いましょう。
それと言い忘れてたけど、イヤーパッドに関しては、DroneとStingerは交換できないんじゃなかったかな、使用頻度にもよるけど、Droneは使用1年半で、表面がボロボロになってきたので、交換して長く使う事を考えると Alpha のようなイヤーパッドを交換できるタイプの方がいいかもね。メーカーさんも安いモデルでも交換イヤーパッドを用意してくださいよ。本体はまだまだ使えるんだから。
求める性能、耳や頭の形状は人それぞれなので、なかなか難しい部分ではありますが、メーカーには、これからも様々な条件に柔軟に適応できるようにヘッドセットを改良していって欲しいですね。

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