本命キーボードは身近にあった
「灯台下暗し」とは、この事である。こんな近く(日本)に本命と思えるキーボードがあったとは・・・。今回は、キースイッチに銀軸(Cherry MX Speed)を搭載した、テンキーレスメカニカルキーボード「ARCHISS Progres Touch RETRO TKL 銀軸 AS-KBPD91/LSBKN (アーキス プログレタッチ レトロ テンキーレス)」をレビューしたいと思います。

パッケージは、まぁ「普通ー!」って感じだが。
「ARCHISS Progres Touch RETRO TKL(アーキス プログレタッチ レトロ テンキーレス)」のメーカー「ARCHISITE(アーキサイト)」は、なんと東京は秋葉原に本社を置くバリバリの日本メーカー。キーボードの生産自体は台湾でやっているようですが、設計は日本で行われている。
私は様々なゲーミングキーボードを使ってきたが、ゲーミングキーボードについては最近思う事があって、正直、価格が上がり過ぎである。ただピカピカ光るだけで1.5万とか2万とかそれ以上とか普通にする。そんだけ高いんだからさぞかし耐久性があるのかと言うと、正直期待外れの事の方が多い。LEDとか余計な部分にコストを割いている為か、逆に肝心な部分が悪くなってたりする。
なので、これからはそう言った流れには追従せず、キーボード本来の基本性能に立ち返ったキーボード選びをしたいと考えて初めていたところである。
そんな中、サーバー機で使っていた、フルサイズのメンブレンキーボードが「サイズが大きすぎる上に打ち心地がショボい」ので「もうちょっと打ち心地が良く、高速に打てて、コンパクトなメカニカルキーボードに変えよう」と代替品を物色していた。
ただ、うちのサーバー機は全てKVMスイッチ(CPU切替機)に接続されており、しかもこのKVMスイッチが少し古めでPS/2仕様なので、基本PS/2接続のキーボードしか使えない。
KVMスイッチ購入当時、結構投資して8ポートKVMスイッチを3台デイジーチェーン接続したりしていた。KVMスイッチから各サーバーへ接続する為の「VGA、キーボード、マウスが1本に束ねられたKVMスイッチ接続用のケーブル」も全ポート分(20本以上?)を購入しトータルでかなりの投資となったので、そうそう買い替えなど出来ない。
と言う訳で、購入の条件としては
・メカニカルキーボードである事。(本家CherryMX限定)
今回の一番の動機である打ち心地を求めて。
・テンキーレスである事。
設置スペースの関係上。(フルキーだと少々窮屈だった)
・USB接続に加え、PS/2接続が出来る事。
KVMスイッチがPS/2専用なので。
これらの条件で絞り込んでみたところ、PS/2接続と言うところでかなり絞り込まれるが、幾つか出てきた中で目に付いたのが、今回の主役「ARCHISS Progres Touch RETRO TKL (銀軸)」である。なんで、このキーボードにしたかと言うと、このキーボード、ピカピカLEDなど装飾機能を省いて価格を抑えている(1万円前後)が、品質などの基本性能は高い。つまり質実剛健でナイスな香りがしたのです。

ARCHISS Progres Touch RETRO TKL (銀軸)
付属品は至ってシンプルで、内訳は取扱説明書、USB接続ケーブル、交換用キーキャップ(キー配置入れ替え時用)、キープラー、PS/2変換アダプタだけである。

ARCHISS Progres Touch RETRO TKL (銀軸)付属品一式
PS/2接続への対応は、PS/2変換アダプタだけあれば対応できるのではなく、本器のようにキーボード本体もPS/2方式の信号処理に対応している必要があります。ですので他のUSB専用のキーボードにPS/2変換アダプタをかましてもPS/2接続対応にはなりません。
開封直後から感じる質感
上の方の写真の通りパッケージもいたって平凡な感じですが、中身を取り出してキーボードを手に取ってみると、テンキーレスでコンパクトな筐体からは予想外の「ズシッ」とした重さが伝わって来る。キーを叩いてみると、剛性感が高く、落ち着きのある打鍵音、高級感すら漂う。

一発で感じたこのキーボードの良さは、やっぱりここなんですね。昔、パソコンの黎明期に日本独自規格の高級なパソコンのキーボードはなんとも高級感溢れる打ち心地で、ある意味憧れでしたが、あの時の記憶を呼び起こします。
この質感がどこから来るのか、色々理由はあると思うんですが、絶対外せない部分として、まずはやっぱりキーキャップだと思うんですよね。このキーボードのキーキャップの肉厚は1.5mmもあり、一般的なキーボードのキーキャプに比べて1.5倍もの肉厚があります。これがキートップの剛性感や落ち着いた打鍵音を生み、高級感漂う打ち心地を生み出しているように思います。

キーキャップの厚みが1.5mmと通常の1.5倍。
また、このキーキャップは2色成型(Double Shot)となっており、キートップの文字は印刷ではなく、裏側の白いプラスチックが露出したものとなっているので、どんなに使い込んで摩耗しても、文字が剥げません。

文字が絶対剥げない2色成型のキートップ。
その他にも耐久性の高いFR-4(ガラスエポキシ)素材を使った基盤や鉄板シャーシを採用しているそうでトータル的に耐久性と安定性を確保しているようです。これらの総合の結果がこのガッシリ感を生み出しているようですね。
見た目は普通だがMX Speedだぜ!
このキーボード、キートップが光る訳でもなく見た目にも特に派手な部分が無い、非常にスタンダードな雰囲気なんですが、なんとキースイッチに本家本元CHERRY社の銀軸(MX Speed)スイッチが搭載されています。

今時、ゲーミングキーボードでも、銀軸が搭載されているものは少なく、銀軸搭載キーボードを探す時になかなか選択肢が無いと言うのに、特にゲーミングを謳っている訳ではないキーボードで銀軸を搭載しているのは、かなり珍しい部類かと思われます。

キーキャップを外すと銀軸のスイッチが確認できる。Cherryの刻印が見える。
銀軸(MX Speed)の特徴は、一般的な(赤軸、茶軸、青軸、黒軸)スイッチと比べて、アクチュエーションポイント(キースイッチがオンになる位置)が2.0mm→1.2mmとより浅く、さらにキーストロークも4.0mm→3.4mmと浅くなっています。これによって、ゲームなどでより高速な反応を実現できる。私の経験上、この差は実際に体感できる。
銀軸は、アクチュエーションポイントが浅いので、文字入力ではミスタッチを誘発し易いのではないかと言った懸念が一般的にはありますが、このキーボードでタイピングしてみましたが、ミスタッチは殆ど気になりません。それどころか、逆にアクチュエーションポイントやストロークが短いので、明らかに文字が高速に流れるように打ち込めます。
従来のストローク4mmのスイッチでは少々深すぎに感じていたので、銀軸は私にはベストなストロークに感じます。
コンパクトなミニマルデザイン
外観は、無駄なスペースを極力省いたミニマルデザイン。後部もケーブル取り出し用の切り欠きが見えるだけ。

後ろ面もスッキリ。
サイズはミニマルですが、キー配置自体は、スタンダードを崩してないので、キー配置に不満を感じる事はないと思います。
場所を取る専用のマルチメディアキーなどは一切配置されてないですが Fn キーとF? (ファンクション キー) の併用によるマルチメディア制御機能はありますので、音量のコントロールなどはキーボードで行う事が出来ます。
外周の余白は4mm~5mmくらいでしょうか。無駄なスペース占有が無くて私的には本当に好ましいと思います。一昔前に良くあった無駄な空間が多いデザインのゲーミングキーボードとか邪魔でしょうがなかった。
スタンドについて
キーボード裏面には、キーボードの高さを変える為のスタンドが付いています。キーボードの傾きはスタンドをしまうとかなり水平に近くなり、ゲームプレイにも十分対応できると感じました。私は、長らく傾きの少ないゲーミングキーボード(G810)を使ってきて来ましたが、このキーボードに置き換えても全く違和感なく使えます。
そして、スタンドを起こすと、後部(ファンクションキー側ね)で約1.5cm程高くなります。スタンドには大きめのすべり止めゴムが被さるようについており、スタンドを起こした状態でもしっかり滑り止めが効いています。
接続ケーブルと取り回し
PCとの接続ケーブルは、脱着式になっており、キーボード側の端子はMiniUSBになっています。まぁ、今となっては見かける事が少なくなったMiniUSBですが、MicroUSBは端子の強度面でMiniUSBより弱いと思うので、これはこれで良いと思います。
ケーブルの取り出しは、中央、右、左の3方向に取り出す事が出来ます。取り合えず3方向に出せれば、PCを何処に配置しても対応し易いかと思います。

ケーブルを中央から取り出す場合。
ケーブルは、溝にはめ込む形で固定しますが、溝の途中で所々狭くなっている部分があって、その部分は、ケーブルに跡がつく程、キツイ感じになっているので、キーボードを持ち上げたくらいでは、ケーブルが溝から抜けないように作られているのも好感が持てます。(持ち上げると簡単にスッポ抜けするキーボードも実際ありますから。)

ケーブルを右側から取り出す場合。
下記に右から取り出した時の写真を貼りますが、左右から取り出した場合は、後部ではなく、写真のように本当にキーボードの横からケーブルが出る感じになります。
この部分に関しては、私的にはマウスパットとの干渉が懸念されるので、それぞれ右後部、左後部かから取り出すようになっているとより良かったかなとは思います。ただケーブルは比較的クセをつけやすい雰囲気はあるので、出た直後に折り曲げるようにすれば回避できるかもしれません。
キーバインドの変更機能について
このキーボードには、左Ctrl キーと CapsLock キー、Alt キー と Winodws キー、Fn キーと Windows キー を入れ替えたり、Windows キー、や E/J(半角/全角)キーを無効にしたりする機能があります。付属品のところで紹介したように、キーを入れ替えた時用に別サイズのキートップも4種類程、付属しています。

キーボード裏面のDIPスイッチ。
これらの機能は、ソフトウエアでは無く、ハードウエアに実装されており、キーボード裏側のDIPスイッチで設定できます。(そもそもこのキーボードにソフトは付属していません。)
ロック系キーのインジケータについて
CapLock や ScrLk (スクロールロック)キーの下にLEDが仕込まれており、ロック状態になると青色に光ってロック状態を確認できるようになっています一般的に良くある、キーボード隅にある小さなLEDインジケータより、該当キー周囲が光るので、より視認し易いように感じました。

CapsLockが有効な状態。LEDが青く光る。
ただし、キーバインド変更機能を使った場合でも光る位置は変わらないので、その点は残念でした。CapsLockのバインド位置変えない人は問題ないです。
USB接続時のロールオーバーキー数、マルチメディア操作機能、キーリピート設定
このキーボードはNキーロールオーバーに対応していますので、ゲーム用途でも問題なく使えます。工場出荷時の設定では、最大6キーまでのロールオーバーですが Fn + Home キーを押す事で Nキーロールオーバーに切り替わります。
ちなみにNキーロールオーバーとキー同時押し判定は厳密には同じ意味ではありません。USB接続のキーボードはUSBインターフェイス側の制限で、最大6キーまでしか同時押し判定ができません。これはゲーミングキーボードであろうとなんだろうと、USB接続すれば基本的に全て同じです。

USBコネクタとPS/2変換アダプタ。
ハードウエア的に、全キー同時押し判定ができる可能性があるのは、PS/2接続のキーボードだけですが、PS/2接続だからと言って必ず全キー同時押し判定が出来る訳ではないようで、それはキーボードの作り込み次第と言った事のようです。

アダプタを付けるとPS/2接続に。これはキーボード本体がPS/2の信号処理に対応しているから出来る事。
マルチメディアファンクションの操作は Fn + F6 ~ F12 で行えます。キーバインドは上の図を見て頂くとして F9 ~ F12 辺りは、右手の親指で Fn を押しながら中指で押せるので、良く使う音量調節が右手だけで操作出来る位置に配置されている辺りは、良く考えられていると思います。
その他、Fn + F1 ~ F4 でキーのリピート速度をリアルタイムに変更する事も出来ます。(ただし、PS/2接続時専用の機能です。)エディタとかで高速にカーソル移動したい人とかには良い機能かもしれませんね。OSの再起動なども必要とせず、その場でリアルタイムに変更できるのも非常に好ましいです。
ゲーミングキーボードとして使ってみた
最後に、今後のメインPCで採用するかどうか検証する意味も含めて「ARCHISS Progres Touch RETRO TKL 銀軸(MX Speed)」でゲームをプレイしてみました。
勿論、ゲームは遊び慣れた PAYDAY2 です。USB接続でプレイしてみましたが、ゲーミングキーボード(Logicool G810)と比べても、何の遜色もないどころか MX Speed は ROMER-Gよりアクチュエーションポイントが浅い分、こっちの方が反応速いかもしれないと思う程素晴らしい操作感でした。Nキーロールオーバーにも対応しているので、これならゲーミングキーボードとしてバリバリ使っていけそうです。
また2色成型のキートップは、どんなにゲームで表面をゴリゴリやっても、印字が剥げる心配がいらないし、品質や耐久性も高そうなので、今使っているメインPCのキーボードがダメになったら、次はこいつに乗り換えようかな。
キースイッチは、今回ご紹介した 銀軸 の他 赤軸、静音赤軸、青軸、茶軸、黒軸 のバリエーションがあります。好みや用途に応じて打鍵感を選べます。
各軸の特徴をざっくり説明すると
銀軸:スピード重視/ゲーム向き
赤軸:スタンダード/文字打ち・ゲーム両立
静音赤軸:赤軸の静音版/打鍵音静か
青軸:文字打ち向き/クリック感大/打鍵音大きめ
茶軸:赤軸と青軸の中間/クリック感小
黒軸:打鍵重め
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アーキス(Archiss) ARCHISS ProgresTouch TKL キープラー付 日本語91 二色成形 PS/2&USB CHERRYスピードシルバー軸 テンキーレス キーボード AS-KBPD91/LSBKNWP
ARCHISS ProgresTouch RETROは使い心地の良さを追求し、長時間使えるキーボードを作りました。TKLシリーズはデスクトップ上をよりスマートに、マウス操作エリアが拡大! OFFICEでも作業スペースが広がります。
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